• 歯科コラム

入れ歯-2それぞれの長所・短所

 

A:歯医者さんが教える歯の秘密

こんにちは。木曜日の昼下がり、いかがお過ごしですか。ここからは、歯医者さんが教える歯の秘密でお楽しみください。お相手はあゆみ歯科クリニック院長の福原隆久と住友未央です。

 

B:この番組では、歯に関するさまざまな情報をお届けし、予防歯科で健康寿命を延ばし、すこやかな未来をめざします。当たり前のようで、知らなかった歯科の世界を楽しくお勉強しましょう。最後までおつきあいをよろしくお願いいたします。

歯医者さんが教える歯の秘密。この番組は、あふれる笑顔をすべての人に、あゆみ歯科クリニックの提供でお送りします。

 

あゆみ先生、今週もよろしくお願いします。

先週は、ラジオネーム「赤福のおじさん」からのメッセージで、お母さまが入れ歯にされるので、樹脂製の入れ歯と金属製の入れ歯のそれぞれのメリットとデメリットを教えてください、ということでした。

わたしが先週を振り返りますので、合っているのか間違っているのかをチェックしてください。

 

A:はい。

 

B:樹脂製の入れ歯は保険が効きます。

 

A:はい。

 

B:金属製の入れ歯は自費となり、30万円ぐらいかかってしまいます。

 

A:そうですね、保険が効きません。25万円とか、保険外なので値段設定はさまざまです。

 

B:ちょっとお高くなります。

ただし、金属製は0.5ミリと薄いのでしゃべりやすいし、自然で、食べ物の温度を感じられます。

 

A:口の機能として、食べることとしゃべることができるのは一番大きいです。それが、今までに近い感じでできるということです。

 

B:樹脂製の入れ歯は、プラスチックなので分厚くなってしまうということですね。

 

A:そうなんです。

 

B:それで、不快感を感じる方もいるということです。

 

A:分厚くて大きいので、しゃべりにくくなります。食べても温度を感じないので、喉元を通るときにはじめて温度を感じるということになります。

 

B:ちょっと危ないですよね。

 

A:総入れ歯に変えた人で、喉のやけどをしてしまうという人は多いですね。

 

B:そうですか。

 

A:そんなにたいした傷ではないですが、気をつけて食べたり飲んだりしてくださいね、と伝えています。

 

B:このようなメリットとデメリットがあると学びました。

 

A:まだまだあります。

 

B:教えてください。

 

A:樹脂の入れ歯を保険外の治療として扱う歯医者もありますので、一概にはいえませんが、樹脂製を保険の入れ歯ということにすると、金属製との違いは、入れ歯は総入れ歯でなければ、残っている歯に針金をつけてくっつけますよね。針金の形やデザインも、保険の入れ歯には、これしか使えないというものが決まっています。

 

B:デザインが決まっているんですか。

 

A:そうです。針金が2本出ていて、表と裏からギュッと歯を挟み込むタイプしか使えないのです。

 

B:それは、見た目には目立つのですか。

 

A:銀の部分が見えるので、見た目も目立ちますね。

 

B:前歯のとなりぐらいに見えるということでしょうか。

 

A:そうですね。ない歯のとなりにある、残っている歯のところにつきます。片方側からふたつの針金でギュッと支えるので、1日に何度も脱着をすると、針金がかかっている歯がグラグラしやすくなります。

 

B:なるほど。そちらの歯が弱ってしまうんですね。

 

A:そうなんです。針金を歯の片側から引っ掛けるので、外すときに、自分の歯をユサユサと揺らしてしまいます。それで、その残っている歯が悪くなってしまうのです。

金属製の入れ歯は、針金のつくり方の種類がたくさんあり、僕たちの表現で言うと、「リジット」に装着できます。

 

B:選べるんですか。

 

A:そうです。ドクターが選びますが、入れ歯をつけたときに水平に脱着できるようになっています。まっすぐつけて、まっすぐ外せます。保険の入れ歯は、奥を外して手前を外すということになります。

 

B:歯にかかる負担が違うということですね。

 

A:そうです。まっすぐ脱着している分には、上下の力だけですから、グラグラになることはありませんが、樹脂制の保険適用の入れ歯の場合は、斜めに動かさなくてはならないので、左右にユサユサと揺れてしまうのです。

 

B:いらない方向に力がかかってしまうということですね。

 

A:そうです。それで、グラグラになりやすいのです。

 

B:毎日それを何回も繰り返すなら、結構なダメージになりますよね。

 

A:そうですね。ですから、保険の入れ歯だと、残っている歯の持ちに違いが出てしまいます。

 

B:なるほど。

 

A:そういう意味でも、金属製の入れ歯は、脱着のときにほかの歯にもやさしいし、まっすぐの方向に着脱するから、ピタッとはまって揺れないので、着け心地もとてもよいです。噛んでいてもユサユサすることが少ないので、噛みやすさもすぐれています。

 

B:装着感もよいということですね。

 

A:性能的には、とてもよいということになります。

 

B:話を聞いていると、金属しかメリットがないと思ってしまいます。

 

A:そうですね。値段だけがデメリットで、あとはメリットしかないです。

 

B:そうですね。高いですよね。20万円もするんですよね。

 

A:安いものではないですね。でも、日々のおしゃべりができることやおいしく食べられることでメリットを見いだせるなら、毎日使うものなので、よいものだと思います。

 

B:とりあえず樹脂のものをつけてみて、そのあとどうしても合わないということになれば、金属製のものにするという手もありますよね。

 

A:それもできますね。

 

B:とりあえず、樹脂のものを入れておいて、お金がたまったとか、余裕ができたときに、金属にするということもできますか。

 

A:いいと思います。性能が段違いです。金属床は、着ける側のわたしたち歯科医も、パチンとはまるので気持ちいいと思うぐらい、きちんとはまります。

 

B:そうですか。

 

A:これは、樹脂と金属の違いということではないですが、金属製の入れ歯の場合は保険外治療になるので、使用する材料も保険外治療用の材料を使います。型をとる粘土のような材料がありますよね。石膏という石の型をつくるのですが、保険内での治療で使える材料は決まっています。それとは別に、材料自体がとても高いのですが、金属製の入れ歯はよい材料を使ってつくるので、でき上がる精度が違うのです。技工士さんの工場でのつくり方も違うので、ピタンと着くものがつくれます。

 

B:やっぱり、高いですが、よいものですね。

 

A:非常によいものだと思います。

 

B:そういったメリットとデメリットを加味して、赤福のおじさんも、お母さまの入れ歯を考えていただけたらと思います。

 

A:あとは、樹脂と金属以外にも、入れ歯は何種類もあるので、そういうところを今度解説できたらと思います。

 

B:分かりました。また来週よろしくお願いいたします。

そろそろお別れの時間となりました。この番組の感想や質問なども、お送りください。歯に関する疑問などのメッセージを送ってください。お待ちしております。

それではまた来週のこの時間、木曜日のお昼1時30分、再放送でお楽しみの方は月曜日夜10時にそれぞれお耳にかかりましょう。

 

A:歯医者さんが教える歯の秘密。お相手はあゆみ歯科クリニック院長の福原隆久と住友未央でした。それでは、来週までごきげんよう。

 

歯医者さんが教える歯の秘密。この番組は、あふれる笑顔をすべての人に、あゆみ歯科クリニックの提供でお送りしました。