• 豆知識

レントゲンの取るタイミングについて

 

 前回では、親知らずを抜いたあと、ごくまれですが小顔になる場合があるという話をしました。吸収されていく骨の量が、人間の外観に伝わる量かどうかは不明ですが、やはり自分の実体験から小顔になることもあると感じています。かといって、顔幅を測るような学会データなどはありません。それでも、口中の4番4本を抜いてる矯正に関しては、小顔になっている気がしています。また、神経を取ったあとは放って置かずに、かぶせ物をつけるまでは治療を続けないといけない、ということもお話しました。

 今回はリスナーの方から、うれしいお話しをいただきました。放送を聞くことで、デンタルIQが上がったという内容です。放送をしている目的であり、目標でもあるのですが、枚方市の方々のデンタルIQが上がることにより、皆様が自分の歯を大事にしようと思い、そしてその結果、平均残存歯数が高くなることで健康寿命が延びていければいいなと思っています。京都府南部や枚方市で、健康寿命が長い地域をつくることができれば幸いだと思っています。

 さて、定期検診を受診していても、2年に1回程度のレントゲンを撮ったほうがいいのでしょうか、それとも主治医の先生にお任せしいいのでしょうか、というご質問をいただきました。定期健診で何カ月かに1回程度、歯のクリーニングをすると思います。超音波などでクリーニングを行い、口腔内の虫歯をチェックするかと思いますが、視診だけでは銀歯の下にある虫歯などは見えません。毎回レントゲンを撮るのは撮りすぎですが、保険上、半年に1回は撮ってもいいというルールがあります。

 半年に1回撮ってらっしゃる歯科医もいらっしゃいますし、なにかしら気になったら撮る、という医院もあります。1年に1回ぐらいで撮ろうという医院もあれば、2年に1回ぐらいの医院もあります。私の感覚ですと、2年は空けないような感じでしょうか。虫歯だけではなく、銀の縁がすり減ってきていたり、逆に銀歯の縁に当たっている自分の歯のほうが減ってきたり、段差になったりということもありますので、中が大丈夫か見てみましょうか、と声をおかけすることが多いです。個人的には、前回レントゲンを撮ってから、おおよそ半年から2年程空いていた場合、かなり長い期間空いたなというイメージがありますね。

 もちろん、修復物や銀歯などがなにもなくて、歯周ポケットの検査もなにもなければ、別に撮らなくていいですが、古い銀歯などが複数あった場合などは、段差のその下が虫歯の可能性ということが大いにあります。やはり、1年に1回ぐらいは撮っておきたいと思います。

 結論から申し上げますと、レントゲンを撮らない限り、かぶせ物や銀歯の下の虫歯の把握は難しいということです。かぶせ物、銀歯で、かつ神経がないと、銀歯と自分の歯の縁が虫歯になっていても、痛みを感じません。虫歯自体には痛みがないからです。神経がない歯は、その銀歯の中が虫歯になる部分に痛みはなく、その歯が次に痛くなるとしたら、神経の中や根っこに膿がたまったときになります。根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)ですね。

 そうなってしまうと痛いのですが、中が虫歯になっていても、そこに至るまでは痛くないので気づかないのです。根っこの部分が壊れていれば、針が入ったりすることによって、なんとなく分かったりしますが、通常上から見ただけで分かるかとなると、分かりません。神経がある歯であっても、上から銀歯がかぶさっている中側が虫歯に侵食されている場合は、分かりません。しみだしてから分かったのでは、診察をしていて3カ月前から分からなかったのかという話になりますよね。レントゲンを撮り、銀歯の下も大丈夫ですよという確定診断こそが、患者様に安心を与えるセリフになると思います。

 レントゲンを撮った結果、やはり虫歯はないですね、と。レントゲンを撮っていないと、視診では大丈夫です、というだけの話になります。もちろん、レントゲンが毎回必要というわけではありません。半年に1回撮っている歯科医院も多いと思いますし、それでも私はいいと思います。ちなみに、歯科医師からの主観からしますと、1年に1回は撮りたくなるのではないでしょうか。保険上では半年に1回レントゲン撮影はいいとありますので、究極ということであれば、半年に1回撮りたいところです。

 医師という立場から、虫歯を視診でチェックしたのみで、大丈夫ですと言うことには恐怖もあります。大丈夫ですよと言いながら、実は銀歯の下に虫歯ができてたらどうしようと、やはり思います。あと、今のご時世ですと、半年に1回のレントゲン撮影に対して、放射線は大丈夫なのですか、というご質問をいただくこともあります。また、3割負担の方ですと、レントゲンだけで1,200円ぐらいのご負担も生じます。その辺りのバランスを見ながら、1年程度か、せいぜいそれぐらいのスパンでしていただきたいな、という思いはあります。大丈夫ですよと伝えるにしても、レントゲン撮影なしの場合、なにを根拠にしているのか、視診のみなのか、とそういう話にもなってきますので、定期的に撮影して、その上で大丈夫ですと言い切れたほうが、お互いにとっていいことではないでしょうか。患者様側から、半年に1回レントゲンを撮ってほしい旨のご相談を受けたとしたら、歯科医師側からしましたら、とてもうれしいと思いますし、ぜひ撮らせてください、となると思います。