• 豆知識

Q.歯茎が下がる

 健康な歯茎が下がっていく原因は、大きく分けて三つあります。その中で最も大きな理由としてあげられるのは、やはり歯周病でしょう。汚れやプラークが付着し、その中にジンジバリスという歯周病菌がいます。その菌から出される酸が骨を溶かし、歯の骨が減ることによって、歯茎も減っていきます。歯茎とは基本的に骨にくっついているものですので、骨が下がると共に歯茎も減っていくことになるのです。

次に、歯はきれいに磨いているにもかかわらず、歯茎が下がってしまう場合があります。これは硬めの歯ブラシを使用し、強く長く磨きすぎることが理由となっています。ブラッシングによる刺激により、だんだん歯茎が下がってしまうのですね。日本人にも多いですが、薄い歯茎の方によく見られます。硬すぎる歯ブラシで毎日ブラッシングをするという機械的な刺激によっても、歯茎が減っていきやすいといわれています。病気的な歯周病ではありませんが、骨が減っていくことにより、結果、歯茎が減る、ということです。

 しっかり磨いているのにもったいない話ですが、実際にあります。歯茎がピンク色で、少し薄いという方は、柔らかい歯ブラシを使用し、歯磨きの時間を長めにとり、やさしく磨いてください。ふわっと鉛筆持ちで持ち、ゆっくりと磨くことを心がけていただきたいと思います。また、人間は右利きであっても左利きであっても、なにかしらのくせがあります。自分ではどちら側が磨けている、磨けていないかが分かりません。3ヶ月に1度の歯科検診に行っても、毎回同じ部分の汚れが残っていたりします。これは、野球選手に例えるならば、内角に強いか外角に強いか、のようなものです。片側ばかりが苦手な方もいますし、むしろ、まんべんなくできている方のほうが少ないのではないでしょうか。私自身も計測したらそうかもしれません。磨けていない部分が残っていてもよくありませんし、逆に強く当たっていてもよくありません。

 例えば毎日の歯磨きが右下の3番の根元だけに強く当たっていると、その部分だけ減っていったりします。歯の磨き方も含めて、1度歯科医受診をお勧めします。自分で歯茎を見ても、ブラッシングが弱いのか強いのかの判断は難しいかと思いますので、歯科医の診断結果を踏まえ、自分には硬い歯ブラシがいいのか、柔らかい歯ブラシがいいのか、選んでもらうといいのではないでしょう。歯の染色をしても、汚れが付着せずきれいな歯なのに、強く歯ブラシが当たりすぎている歯茎もあります。汚れが残っていることで歯周病が進み、結果、歯茎が減っているのか、それとも、汚れは全くないが、歯ブラシが強く当たりすぎて、結果、歯茎が減っているのか、まずは歯科医を受診し、診てもらうことが大事です。

 最後の原因として、かみ合わせがあげられます。特定の部分だけ、かみ合わせの力が強すぎても、その部分の根元にダメージが残ることにより、だんだんと歯茎がむけてきます。と同時に歯の角度が変わってきたりなどして、歯自体が動いてきます。これは咬合性外傷といって、かみ合わせがよくないことで、骨が減り、歯茎も減っていく、歯が顎骨に対して少し外側に傾いてくることで、歯茎が減っていくという現象です。このような原因もあるのです。
歯茎が下がる原因については、実際に診察してみないと分かりません。メインはやはり歯周病ですが、このように、あながち歯周病だけとはいえないのです。歯科医を定期的に受診することは、非常に大事なことなのです。