歯医者さんのレントゲンの重要性と安全性。被曝量は?妊婦は大丈夫?
歯科医院では、いろいろな治療の場面でレントゲンの撮影を行います。多くの場合は、口腔内の一部に限られた撮影ばかりですが、その安全性を心配される方も少なくありません。とりわけ妊娠中の女性は、歯科のレントゲン撮影に伴う被曝量が気になるところです。ここではそんな歯医者におけるレントゲンの安全性や重要性について詳しく解説します。
1.なぜレントゲンを撮影するのか?
私たちの歯は、歯冠の部分だけ口腔内に露出していて、それ以外の部分は歯茎や歯槽骨の中に埋まっていますので、肉眼で診査できるのは基本的に歯冠の部分だけとなります。ですから、患者さんにお口を開けてもらって診察しているのは、目で見える範囲の虫歯や歯周病だけとお考えください。そこで必要となるのが、肉版で歯見えない部分を見えるようにするレントゲン撮影です。
2.レントゲンによって歯根や歯槽骨の状態がわかる
歯科用のレントゲンを撮影することによって、口腔内に露出していない歯根の状態や歯槽骨の状態などを可視化することができます。これは医科でも行われているレントゲンと同じ用途ですね。医科でも骨や内臓など、体表からは見て取れない臓器の病変をレントゲンによって可視化します。
- レントゲンで具体的に何がわかるのか?
レントゲン画像では、虫歯によって歯が溶かされているか、歯槽骨が歯周病などによって吸収されているかなどを確認することができます。穴があいていたり、骨密度が低くなっていたりするとレントゲンの性質上黒く抜けてみえるようになりますので、病変があれば一目瞭然です。そうして得られる情報を元に.病気の診断を下し、必要な治療を考えていくこととなります。
3.レントゲン撮影に伴う被曝量について
歯科におけるレントゲン撮影でも、当然のことながらX線を照射しますので被曝を伴います。とはいえ、その被曝量は許容範囲内なので、年に数回の撮影を行ったとしても、人体に影響が現れるようなものでありません。また、口腔内に限局したレントゲン撮影であるため、医科のレントゲン撮影よりもさらに被曝量が少ないといえます。
4.妊婦は撮影しても大丈夫か?
現在妊娠中の方は、歯科におけるレントゲン撮影を受けて良いかどうか、不安に感じられますよね。お腹の中の赤ちゃんのことを考えたら、被曝による悪影響が心配になっても仕方がないといえます。ただ、基本的に歯科におけるレントゲンは口腔周囲に行われる撮影ですし、被曝量も許容範囲内ですので、妊婦の方に撮影を行っても直接的な影響が現れる可能性は低いといえます。けれども、あくまで可能性が低いだけですので、逆に悪影響が現れる可能性も残されており、可能であれば妊娠中のレントゲン撮影は避けた方が賢明といえます。ですから、歯科治療が必要と思われる方は、妊娠前にできるだけ治療を終えておくことがベストといえます。あるいは、出産後であれば胎児への影響がなくなりますので、治療を受けやすくなります。
5.まとめ
このように、歯科におけるレントゲンは基本的に安全性が確保されています。被曝量は医科で受ける全身のレントゲンよりも少ないですし、撮影の際にもきちんとした放射線防護処置が義務付けられていますので、レントゲン撮影を年に数回行ったからといって体に悪影響が現れることはほとんどありません。それよりも、レントゲン撮影を行うことによって得られる情報の有益性が高いため、多くのケースで治療開始前や治療の経過を見るために、レントゲン撮影が行われているのが現状です。