妊婦の方必見!歯医者が教える妊婦さんの口腔ケア
HPでの、スタッフによる豆知識で今回ご紹介するのは、“妊娠中のお口のメインテナンス”です。
まずは、乳歯の発育からご説明させて頂きます。
乳歯の発育には大きく分けて3つの段階があります。
- 歯胚(歯の種)の形成
歯胚とは、簡単にいうと、歯の元となる種の様なものでして細胞の塊です。この乳歯の歯胚はお母さん自体も妊娠の自覚があまりない、妊娠7週頃から発生します。この時期、将来の乳歯の数と位置に一致して上下合わせて20個の細胞の塊(歯胚)ができます。
その後、妊娠4ヶ月頃には次々とエナメル質(歯の表層部分の硬い組織)や象牙質(エナメル質の内側の組織)、歯髄(歯の神経)等を作る部分に分かれて細胞が分化していきます。
- 石灰化開始
妊娠4ヶ月頃から、乳歯の石灰化が開始されます。カルシウムやリン等が沈着し、硬さが増します。出生の頃には、乳歯の歯冠の一部ができ始めます。また、第一大臼歯(6歳臼歯)の石灰化も同時に開始されます。
- 歯冠の形成
出生1ヶ月半くらいから乳中切歯、第一乳臼歯、乳犬歯、第二乳臼歯と完成し、萌出の準備を始めます。
では、赤ちゃんがお腹の中にいる時から、健康な歯を作ってあげるためにはどうしてあげれば良いでしょうか?
実はお母さんが食生活に気を付けて頂くことも、赤ちゃんの健康な歯を作るために大変重要なことなのです。
というのも、妊娠中のお母さんの日々の食事から摂取された栄養は、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに届き、歯の形成、成長にも関与します。
特に、①良質なタンパク質②カルシウム③ビタミンA,C,Dの3つの栄養素は、歯の形成に大きく関与しますので、不足しないように心掛けましょう!
特に妊娠期間中は、悪阻だとか、お母さんの身体に起こる変化って大きいですよね。
お母さんがしっかりと栄養を取ることは、お腹の赤ちゃんの成長を促すためにも大変重要なことですが、実は、お口の中のメインテナンスもかなり重要な役割を果たします。
妊娠期は、ホルモンの分泌変化、唾液の分泌量とpH(酸性度)の変化、口腔清掃が困難になる等、口腔内が通常よりも不潔になり、歯周病や虫歯になりやすい環境になりがちです。
特に、妊娠期に起こる歯茎の炎症“妊娠性歯肉炎・歯周炎”が重度にまで進行すると、早産や低出生体重児の原因になります。
ですが、妊娠性歯肉炎・歯周炎は、口腔清掃が行き届いたお母さんのお口の中にはほとんど認められません!
つまり、プラークコントロール(歯垢除去)を徹底的に行い、常に口腔内を清潔な状態に保って頂くことで、予防・軽減・治癒することが考えられるということです!
特に、妊娠期特有の歯周病の多くについては、適切な口腔ケアにより、予防及び治療が可能とされていますので、ご安心ください。
妊娠による口腔内の変化を考慮し、セルフケアを中心に歯周病対策をして、元気な赤ちゃんを迎えてあげましょう!