• 豆知識

住友親知らず・番組公開診察

 

 下の親知らずは苦労します。角度も変に入っていると、割ったり縫ったりしながら治療します。とても時間かかって、ようやく抜けるということもあり、1日目は血が止まらなくてガーゼを噛んでいたという方もいます。痛みはそんなになく、ガーゼを噛んで圧迫止血をすることで腫れが引くこともありますが、3日目にまた痛くなって、ロキソニンを飲まずにはいられない状態になる人もいます。

 親知らずを抜いた後は、手や足の怪我と同じで、血が出ます。その血が固まって、かさぶたになり、肉になり、最後皮膚になります。いわゆるかさぶたではなく、肉団子のような血の塊になります。ただ、口の中は唾液や、水を飲んだり、うがいをしたり、歯ブラシを当てすぎたりすると、そのかさぶたが取れてしまうことがあります。かさぶたのことを血の餅と書いて血餅といいますが、歯を抜いた後、血餅というふたがされているので、酸素や空気が骨には当たりません。しかしそれが取れてしまうと、骨が丸見えになってしまいます。骨に酸素が当たるようになるので、人間の知覚としてはとても痛いのです。そして、血が出ていない状態では肉はできません。それでも、時間はかかりますが、周りから肉が増殖してくるので、肉が盛り上がっていきます。1ヶ月ぐらいかかる場合もありますが、痛みはあまりありません。そこまで大きく開いていなければ、1週間以内で痛みが止まると思います。ただ、歯を抜いた後は歯があった形にへこんでいるので、乾燥してしまいます。その乾燥したくぼみをドライソケットといいますが、血餅が取れて白いのが見えていて、そこにばい菌がつくと痛くなります。骨表面が感染してしまうのです。

 治し方は2種類ありまして、抗生剤を飲むのは歯科医師の判断によりますが、痛み止めを飲んで様子を見て、しばらく経つと、周りから肉がはってくるので、時がある程度解決してくれます。もう1つは、改めて麻酔をして掻爬をする。もう一度、骨の表面や周りの肉を削って新しい血を出し、血餅ができて、それが取れなければ治ります。その方が早いので、ドライソケットか掻爬なら、後者の方が楽かと思います。傷治りが悪くてうんできたら、表面の悪い部分を取り除いて新しい傷にすると、普通に治ってくれる可能性があります。置いておくよりも、剥離して新しい傷にして治す方が早いこともあります。それも程度が低ければ、そこまでしなくても、感染さえ防いで待っていれば、免疫力で治してくれます。