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歯周病(歯槽膿漏)

▼歯周病の治療法

 

◎そもそも歯周病は治るの?

 

歯周病は「日本人の国民病」と呼ばれるほど、この国で広く蔓延している病気です。それは2016年の歯科疾患実態調査の「15歳以上で4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合は平均で43%」という結果からも明らかであり、この数値だけとっても日本人の約2人に1人が歯周病を発症していることを意味するのです。歯周病の予備軍なども含めると、成人の約8割が感染している病気とまでいわれています。

 

また、歯周病は完治させることが難しい病気としても有名です。とりわけ進行した歯周病である「歯槽膿漏(しそうのうろう)では、歯茎や顎の骨の破壊が起こり、それらを元に戻すことは基本的に不可能となります。歯周組織再生療法を実施することで、ある程度回復させることは可能であるものの、そこには限界があることを知っておいてください。ただし、適切な治療を施し、口内環境の安定化に努めることで、歯周病の症状を和らげることはできます。大切なのは、歯茎や顎の骨に悪影響を与えない状態を継続させることです。

 

◎歯槽膿漏とは?

 

歯周病には、歯槽膿漏や歯肉炎、歯周炎といったいくつかの病名が存在しており、それらを混同している人も珍しくありません。いずれも歯周病であることに変わりはないのですが、重症度に大きな違いがあります。最も軽い歯周病は「歯肉炎」で、炎症が歯茎(=歯肉)だけにとどまっている状態です。それが顎の骨や歯根膜にまで広がると「歯周炎」になり、歯茎から膿が出始めると「歯槽膿漏」へと移行します。歯槽膿漏では、噛んだ時に強い痛みが生じたり、口臭が強くなったりするなどの症状が顕著に表れるようになります。それだけに、歯周病はできるだけ軽度の段階で治療を受けたいものです。

 

◎歯周病で口臭が強くなる理由

 

歯周病にかかっている人のお口の中や吐息には、独特な臭気が感じられます。一般的には「腐った玉ねぎ」や「ドブ」のような臭いと表現される口臭で、周囲の人に迷惑をかけてしまうことも多々あります。これは歯周病菌が作り出す「メチルメルカプタン」というガスが原因となっており、歯周ポケットの中などで歯周病菌が繁殖するほど、臭いも強まります。歯槽膿漏になると細菌の死骸の臭いなどが加わるため口臭がさらに悪化することになります。

 

◎歯周病は自分で治せる病気?

 

薬局やドラッグストアなどには、歯周病用の歯磨き粉や薬剤などが販売されおり、積極的に活用されている方も多いことでしょう。実際、そうしたケア用品の薬用成分には、歯周病の症状を緩和するものが含まれていますが、完治させることはできません。歯茎の炎症反応を抑えたり、歯周病菌の繁殖を少しだけ抑制したりする作用が期待できるのみです。また、歯周病は虫歯と同様、自然に治癒する病気ではないため、歯科医院での治療が必須となります。

 

 

 

 

 

▼歯周病を治すための4つのステップ

 

STEP1 病状の把握

 

歯周病を治す場合、いきなり具体的な治療が始めることはありません。まずは歯周病の検査を行って、病状を把握します。歯茎の腫れ・出血、歯周ポケットの深さ、歯の動揺度などを調べて、歯周病がどの段階にあるのかを正確に評価します。その上で最善といえる治療計画を立案します。

 

STEP2 セルフケアの改善

 

歯周病を治すためには、セルフケアの改善が欠かせません。歯周病を発症している時点で、セルフケアが不十分であることは間違いありません。セルフケアの問題点を抽出し、改善方法をご提案します。口腔ケアのプロフェッショナルである歯科衛生士が患者さまお一人おひとりに最善といえるブラッシング法をご提案します。

 

STEP3 歯周病治療

 

現在の病気の状態を把握し、セルフケアの見直しが行われたら、いよいよ具体的な歯周病治療に入ります。歯周病菌の温床となる歯垢をクリーニングで、歯石はスケーリング(歯石取り)で取り除きます。そうした歯周基本治療で症状の改善が見込めないケースでは、顎の骨を再生させたり、メスで歯茎を切開した上で歯石取りを行なったりする歯周外科治療へと移行します。

 

STEP4 メンテナンス

 

歯周病治療が一通り終わり、症状が消失もしくは安定したら、メンテナンスへと移行します。歯周病は完治させることが難しく、油断をするとまたすぐ発症してしまう病気なので、歯周病治療が終わった後も定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。3ヶ月に1回くらいの頻度で歯科検診を受けて入れ歯、歯周病の予防や再発した場合の早期発見も難しくなくなります。

 

 

 

 

 

▼歯周病の原因について

 

歯周病は細菌感染症の一種であり、歯周病菌への感染が根本的な原因であることに間違いはありませんが、実際はもう少し複雑です。なぜなら、歯並びや噛み合わせの異常、喫煙や食事などの生活習慣とも密接な関わりがあるからです。糖尿病にかかっている人は、歯周病のリスクが著しく増加する点にも注意しなければなりません。つまり、歯周病を治す、あるいは予防するためには、そうした歯周病のリスク因子を一つひとつ潰していくことが何より重要となるのです。

 

◎歯周病の進行を止めるために

 

歯周病は自覚症状に乏しく、時間をかけてゆっくりと進行していきます。気付いた頃には重症化していて「噛むと痛い」「歯がグラグラする」などの症状が認められるようになり、抜歯以外の選択肢がなくなることも珍しくありません。そんな歯周病の進行を止めるには、プロフェッショナルの力が不可欠です。歯科医師および歯科衛生士が最善といえる治療法・予防法をご提案しますので、私たちとともに頑張っていきましょう。