差し歯による歯茎の変色(メタルタトゥー)は、元に戻せますか?
差し歯の材料に金属を使うと、歯茎に変色が起こることがあります。これはメタルタトゥーとも呼ばれる現象で、銀歯による治療を受けた際のひとつの弊害といえます。そんなメタルタトゥーは当然、見た目が良くないので、症状を改善したいという方が多いです。
- なぜメタルタトゥーが生じるの?
口腔内は、常に唾液によって高湿度が保たれていますし、日々摂取する飲食物によって様々な刺激が発生しています。銀歯は、そうした劇的に変化する環境下に置かれると、表面が溶け出したり、劣化したりするため、歯茎への着色や金属アレルギーといった症状を引き起こします。つまり、歯茎に沈着した金属色は、溶けだした銀歯の一部なのです。
- メタルタトゥーは有害?
歯茎の着色であるメタルタトゥーは、審美性を害しているという点で有害といえます。昨今では、奥歯でもセラミック製の白い歯を入れて、審美性を高めるような治療を行うくらいですから、歯茎が金属色に変色するのは、患者さんにとって有害な症状といえます。
また、それだけ銀歯の成分が溶け出しているということは、金属アレルギーを発症するリスクも高まりますし、銀歯そのものの劣化も危惧されますので、その他にも様々な弊害が生じる可能性が高いといえます。
- メタルタトゥーの改善法
メタルタトゥーは主に2つの方法で改善することができます。
1 ケミカルガムピーリング
ケミカルガムピーリングとは、エタノールなどの薬剤を用いて歯茎の新陳代謝を正常に戻す処置です。簡単にいうと、金属の溶解成分が沈着している歯茎の層をはがして、正常な層へとターンオーバーさせる処置法です。これによって、メタルタトゥーの症状は改善し、歯茎本来のピンク色へと戻っていきます。施術後1~2週間で効果が現れてきます。
2 レーザーガムピーリング
レーザーガムピーリングとは、レーザーを使ったメタルタトゥーの改善法です。美容外科などで皮膚のメラニン色素を除去するメカニズムと同じで、レーザーによって金属の着色を取り除きます。痛みは少なく、1~2回の施術でメタルタトゥーの症状が改善していきます。
- 根本的な原因を取り除く
歯茎に沈着した金属色は、ガムピーリングによって改善できますが、根本的な原因を取り除かなければ、再びメタルタトゥーの症状が現れます。つまり、今現在装着している銀歯を別の材料に置き換える必要があるのです。
- メタルタトゥーの心配がない材料とは
歯科では、金属以外の材用としてレジンやセラミックなどが使われています。これらの材料は、基本的に歯茎の着色の原因にはなり得ません。また、金属アレルギーを発症することもないため、そうした症状を心配されている方にはうってつけの材料といえます。とりわけ、銀歯のように奥歯の人工歯として用いる場合は、セラミックがお勧めです。なぜなら、レジンというのは金属やセラミックと比較すると軟らかく、破損しやすいからです。奥歯には、ものを噛んだ時にとても強い力が加わりますので、丈夫な材料で人工歯を作ることが望ましいのです。
- セラミックによる治療について
多くの歯科医院では、既に装着している銀歯をセラミック製の歯に置き換える治療を行っています。装着されている銀歯を取り外し、前処置や型取りなどを行って、セラミック製の被せものを作ります。数回の来院が必要になりますが、銀歯からセラミックの歯に置き換えることで、歯茎への着色を防止できるだけでなく、審美性も格段に向上しますので、非常に満足度の高い治療法といえます。