歯周炎の原因とは
日本人の多くが罹患していると言われている歯周病ですが、その原因が何なのか、皆さんはご存知でしょうか。原因がはっきりすれば症状の改善や予防をはかることも可能ですので、是非とも知りたい点ですよね。ここではそんな歯周病の原因について詳しく解説します。
1.歯周病の種類
まず始めに歯周病の種類についてですが、大きく2つに分けることができます。1つは比較的軽症といえる歯肉炎で、もう1つは比較的重症といえる歯周炎です。ここでは主に歯周炎の原因やその対策法についてご紹介します。
2.歯周炎とは
歯周炎とは、歯周病菌が原因で発症する病気で、歯茎だけでなく歯根膜や歯槽骨にまで炎症が広がっていることが多いです。歯周ポケットも深くなっており、歯がグラグラと動揺しているケースも珍しくはありません。歯周炎はとても多様な症状を引き起こす病気なのですが、根本的な原因はとてもシンプルです。
3.歯周炎の根本的な原因とは
歯周病の一種である歯周炎は、歯周病菌への感染によって引き起こされます。ですから、歯周炎を感染症としてとらえることもできます。ただ、日本人の8~9割が罹患しているとまで言われている歯周病ですから、感染症という概念はもはやないといえるでしょう。では歯周病患者さんは、いつどこでどのように歯周病菌へと感染するのでしょうか。
4.口腔内には無数の細菌が生息している
まず始めに、私たちの口腔内には無数の細菌が生息していることを確認しておきましょう。日本人に限らず、ほとんどの人の口腔内には虫歯菌や歯周病菌が存在しています。すると「それならみんな虫歯や歯周病にかかっているということ?」といった疑問を持つ方も多いことでしょう。ここで注意しておきたいのは、口腔内に細菌が存在しているからといって、必ずしも虫歯や歯周病を発症しているというわけではない点です。
5.増殖して病原性を発揮する
「歯周炎を発症」するとは、単に少数の歯周病菌が存在していることではなく、歯石や歯周ポケットの中で病原性を持つくらいまで増殖した状態を指します。ある意味これを「歯周病菌への感染」とも呼んでいます。
6.歯周病菌への感染経路
虫歯菌や歯周病菌への最初の感染は、多くの場合、母親を経由していると考えられています。いわゆる垂直感染、もしくは母子感染と呼ばれるもので、母親とキスをしたり、食べ物を口移して与えたりする際に、口腔内の歯周病菌などが乳幼児へと伝わっていくのです。
7.増殖させないことが大事
さて、口腔内に歯周病菌が存在していたとしても、少数であれば問題ありません。それが増えるきっかけとなるのは、歯垢や歯石の沈着です。歯の表面にこれらの汚れが沈着することで、歯周病菌の温床となりますので、病原性を持つまでに増殖します。あるいは、歯周炎によって生じる深い歯周ポケットも細菌増殖の温床となりますので、注意が必要です。逆にいえば、これら歯周病菌が喜ぶような環境を作らず、増殖させないようにすれば、歯周炎の発症を防ぐことが可能といえます。
8.歯石の形成を抑える
歯石は歯垢が石灰化した物質で、形成までにそれなりの時間がかかりますが、一度形成されると、歯ブラシで取り除くことは不可能となるため、形成前に歯垢を除去することが重要です。歯石ほど歯周炎発症のリスク因子になるものはありませんので、歯石の形成をいかに抑えるかが歯周炎発症予防の鍵を握るといえるでしょう。
9.まとめ
このように、歯周炎は歯垢や歯石、深い歯周ポケットを温床として増殖した歯周病菌が引き起こす病気ですので、いかに普段から汚れをため込まず、プラークフリーの状態を維持できるかが重要なってきます。