根管根充とはどのような状態のことをいうのか
歯の根っこの治療に「根管充填(こんかんじゅうてん)」という処置があります。専門的には根充(こんじゅう)と略されることがある処置で、虫歯治療を行う上で非常に大切なプロセスといえます。ここではそんな根管充填について詳しく解説します。
- 歯の根っこには空洞がある
歯根と呼ばれる歯の根っこの部分には、空洞が存在します。専門的には歯髄腔と呼ばれる空洞で、健康な歯根であれば、本来歯の神経や血管などが存在しています。これらが虫歯によって侵されると、抜髄(ばつずい)という処置を施して神経を抜くことになりますので、空洞だけが残ることとなります。
- 歯髄腔は埋める必要がある?
歯の根っこの治療が終わると、歯髄腔を埋める必要が出てきます。なぜなら、歯の中に何もない空洞が存在していると、そこへ細菌などが侵入して、再び虫歯を発生させる可能性が出てくるからです。そのため、歯の神経を抜いて綺麗に消毒した後は、特殊な歯科材料によって歯髄腔を埋めます。これを専門的に根管充填と呼んでいるのです。
- 何で空洞を埋めるの?
根管充填には、主にガッタパーチャポイントと呼ばれる歯科用材料が用いられます。ガッタパーチャポイントは、ゴムのような素材でできており、体に対する刺激性はほとんどありません。そうした為害性の低い歯科材料を使って、根管にできた空洞を埋めることとなります。
- 根充の状態はX線画像で確認できる
過去に根管充填をしたことがある患者さんであれば、X線写真を撮影することで一目瞭然です。ガッタパーチャポイントには、造影効果のある成分が含まれていますので、デンタルやパノラマX線写真を取ることで、充填された状態を視覚的に確認することができます。X線画像でどのように写るかというと、基本的に金属と同じで、ガッタパーチャポイントが充填されている部分が白く造影されます。
- 根管を塞ぐような形で充填されているのが理想
根管充填は、歯髄腔を塞ぐことが目的ですので、X線画像で見た際に、歯髄腔を塞ぐような形で充填されているのが理想です。根管充填が失敗していると、根管の先の方に空洞が存在していたり、側方に隙間が生じていたりします。そうした状態だと、根管内が再感染しやすくなるため注意が必要です。
- 根管充填が不十分だと
根管充填が適切に行われないと、根管内への再感染が起こります。具体的には、歯冠の方から細菌などに汚染された液が根管内へと流れ込み、再び根管内に病巣を作るのです。そうなると、再根管治療と呼ばれる処置が必要となります。
- 再根管治療とは
再根管治療とは、文字通り再び根管治療を行うことで、根管内の消毒から始めなければいけません。病巣が根尖にまで及んでしまった場合は、最悪のケースで抜歯が考えられますので、どう診断するかが重要なポイントとなります。
- 根管治療はとても時間のかかるもの
虫歯が歯髄にまで到達すると、根管治療を行わなければならなくなります。根管治療は、歯を削ったり、レジンを詰めたりする治療とは比べ物にならないほど、時間のかかるものです。同時に、技術を要するものです。いかに根気強く根管消毒を行い、緊密な根管充填を実施するかによって、予後が大きく変わります。
- 虫歯が歯髄に達する前に治療する
このように、根管充填を始めとした歯の根っこの治療というのは、とても厄介なものですので、可能であれば虫歯菌が歯髄に到達する前に治したいものです。そうすることで、残せる歯質の量も格段に増えますし、治療にかかる費用や時間も省くことが可能です。