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歯がゆれるのは自然現象?それとも歯周病のサイン?

歯が抜けている模型

鏡で自分の歯を見ていて、「あれ、ちょっとこの歯、動いてる?」と感じたことはありませんか?大人の歯が動くなんて、どこかおかしいのでは…と不安になる方も多いでしょう。

実は、健康な歯でも“少しだけ動く”のは自然なこと。しかし、その揺れがいつもと違ったり、頻繁に気になったりする場合には注意が必要です。中には歯周病やくいしばりなど、口の中に問題が起きているサインかもしれません。

この記事では、歯が動く仕組みや、放っておくと危ない症状、予防のための対策について分かりやすくご紹介します。

 

健康な歯でも少し動く?「生理的動揺」とは

人の歯はあごの骨に完全に固定されているわけではなく、「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような膜を介して支えられています。この歯根膜のおかげで、歯には微妙な“たわみ”や“動き”があり、噛んだときの衝撃を和らげています。

このようなごく自然な動きを「生理的動揺」といいます。これは健康な歯でも見られる正常な現象で、特に異常ではありません。上下の歯を軽く噛み合わせた状態で揺らしてみると、わずかな動きを感じることがあります。

 

それって異常?要注意な「病的動揺」

ただし、「噛むと違和感がある」「歯ブラシを当てると動くのがわかる」「明らかに他の歯より動く」といった場合は、異常な動き=「病的動揺」である可能性があります。

その主な原因として最も多いのが「歯周病」です。歯周病は、歯を支える骨が徐々に溶けてしまう病気。進行すると、歯を支える力が弱くなり、歯が動きやすくなるのです。症状が悪化すると、痛みや腫れを伴い、最終的には歯を失うことも。

初期の段階では自覚症状が乏しく、「気づいたときにはかなり進行していた」というケースも少なくありません。

 

歯が動くのは歯周病だけじゃない?

歯が動く原因は歯周病だけではありません。以下のような要因も考えられます。

・歯ぎしり・くいしばり

無意識のうちに強い力で噛み続けるクセがあると、歯に大きな負担がかかり、歯やその周囲の組織にダメージを与えることがあります。

・外傷や衝撃

転倒や事故などで歯に強い力がかかると、一時的に歯が緩むことがあります。特にスポーツ時の打撲などは要注意です。

・矯正治療の影響

矯正中は歯を意図的に動かしているため、一定期間、動揺を感じることがあります。これは治療過程で必要な反応であり、通常は問題ありません。

・根の病気(根尖病変)

過去に神経を取った歯の根に炎症が起こり、膿がたまると、歯の安定性が失われて動きやすくなります。

このように、歯が動く原因は複数あるため、自己判断せず、歯科医院で正しい診断を受けることが大切です。

 

歯が抜ける前に…こんな症状に注意!

以下のようなサインがある場合は、歯の支えに問題が生じているかもしれません。

・歯ぐきが腫れる、血や膿が出る

・歯の間に食べ物が詰まりやすくなった

・歯が長く見える(歯ぐきが下がっている)

・噛み合わせが変わった気がする

・歯を磨いたときに違和感がある

これらの症状は、歯周病や歯の根の炎症が進行しているサインかもしれません。放置せず、早めに受診しましょう。

鏡を見ているようす

 

歯の動きを予防するためにできること

歯の健康は、日々の小さな積み重ねが大切です。以下の習慣を心がけましょう。

・正しいブラッシングを習慣にする

・デンタルフロスや歯間ブラシでのケアを取り入れる

・ストレスやくいしばりの対策としてマウスピースを使用する

・偏った食生活を避け、栄養バランスの取れた食事を意識する

・歯科医院での定期検診を受ける

特に定期的なクリーニングや歯周ポケットのチェックは、病気の早期発見・予防につながります。

 

まとめ:歯が動く=すべてが病気とは限らない。でも油断は禁物

歯が少し動くことは、実は誰にでもある自然な現象です。しかし、いつもと違う揺れ方や違和感が続くようであれば、何かしらのサインかもしれません。

歯周病が原因であるケースもあれば、くいしばりや根の病気など、一見わかりにくい別の要因が潜んでいることもあります。

つまり、「歯が動く=すぐに歯周病」とは限りませんが、歯周病の初期症状としてもよく見られるのが実際のところです。

だからこそ、自己判断に頼らず、気になったときは迷わず歯科医院へ相談を。

そして何より、歯を守るためには定期的なメンテナンスが大切です。症状が出てからではなく、出る前から。将来の歯の健康のために、今できることからはじめていきましょう。

 

理事長 福原隆久

医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック

理事長 福原 隆久 監修

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