歯の寿命はのばせる!80歳で20本を守るための5つの習慣【歯科医監修】

「いつまでも自分の歯で食事を楽しみたい」——そんな思いは誰にとっても共通の願いではないでしょうか。近年、厚生労働省や日本歯科医師会が推進する“8020(ハチマルニイマル)運動”は、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という目標を掲げています。しかし、加齢とともに歯が抜けるのは自然なこと……と思い込んでいませんか?
実は、歯を失う主な原因は「加齢」ではなく、「歯周病」や「むし歯」など、生活習慣に深く関係しています。つまり、正しいケアを続ければ、歯の寿命は自分で延ばすことができるのです。
では、どうすれば生涯にわたって健康な歯を保てるのでしょうか?今回はそのために実践したい5つの習慣をご紹介します。
目次
1. 毎日の「正しい歯みがき」を徹底しよう
歯みがきは誰もが行っているケアですが、「磨いている」と「きちんと磨けている」は別物です。特に磨き残しが多いのが、歯と歯ぐきの境目や歯の裏側、奥歯の溝など。これらの場所に汚れが残ると、歯周病や虫歯の原因となり、やがて歯を失うリスクに。
● 歯ブラシは毛先が広がったら交換(1か月を目安に)
● 強く磨かず、軽い力で小刻みに動かす
● フロスや歯間ブラシで歯と歯の間もきれいにする
毎日のケアに“質”を意識することが、歯の寿命を延ばす第一歩です。
2. 「定期検診」で早期発見・早期治療
痛みが出てから歯医者に行く、という方も少なくありませんが、それでは手遅れになるケースも。虫歯や歯周病は進行するまで症状が出にくいため、知らぬ間に悪化してしまうのです。
歯科医院での定期検診では、
● 初期の虫歯・歯周病のチェック
● プロによるクリーニング(歯石除去など)
● ブラッシング指導
などを受けられます。2〜3か月に一度の定期検診を習慣にしましょう。

3. 「よく噛む」ことで歯と体を同時に健康に
柔らかいものばかり食べていませんか?よく噛むことは、唾液の分泌を促して虫歯や歯周病を予防するだけでなく、脳への刺激や胃腸の働きのサポートにもつながります。
● 一口30回を目安に噛む
● 繊維質の多い野菜や噛みごたえのある食材を意識的に取り入れる
● 片側ばかりで噛むクセがある人は、左右バランスよく
しっかり噛む食生活は、歯の寿命を延ばすだけでなく、全身の健康づくりにも役立ちます。
4. 「歯を守る食生活」にシフトしよう
糖分の多い食べ物や酸性の飲み物(清涼飲料水・お酢・ワインなど)は、歯の表面のエナメル質を溶かしやすく、むし歯のリスクを高めます。
一方で、以下のような食品は歯にやさしいとされています。
● チーズやヨーグルト:カルシウムが豊富
● 緑黄色野菜:歯ぐきの健康を保つビタミンCを含む
● キシリトール入りのガム:虫歯菌の活動を抑える
「食べ方」も重要で、ダラダラ食べや間食の頻度を減らすことで、口内環境を整えることができます。
5. 「喫煙・歯ぎしり・口呼吸」などの悪習慣を見直す
実は、歯に悪影響を与えるのは磨き残しだけではありません。
● 喫煙:歯周病のリスクを数倍に高める
● 歯ぎしり:歯のすり減りや破折を引き起こす
● 口呼吸:口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなる
これらの生活習慣も、長期的に見ると歯の寿命を縮める要因になります。心当たりがある方は、専門的な対策(マウスピースや呼吸トレーニングなど)を取り入れるとよいでしょう。
まとめ:歯の寿命は習慣で決まる!
「歯は消耗品」と考える方もいますが、実際は“自分の努力次第”で守れる器官です。80歳で20本の歯を残すことは夢ではありません。
そのためには、
・ 正しいブラッシング
・ 定期的な歯科検診
・ 噛む・食べる習慣の見直し
・ 悪習慣の改善
といった日々の積み重ねが大切です。10年後、20年後の自分のために、今日から歯の健康習慣を始めてみませんか?
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック
理事長 福原 隆久 監修