「口ぽかん」が招く健康トラブル!口呼吸のデメリットと今すぐ始めたい改善法

ふとした瞬間、鏡に映った自分やお子さんが、ぽかんと口を開けていませんか?実はその「口ぽかん」の状態、放っておくと体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。口呼吸は、見た目の印象だけでなく、虫歯や歯並びの悪化、風邪を引きやすくなるなど、全身の健康にも関係しているのです。
今回は、「口呼吸のデメリット」「鼻呼吸の重要性」「口呼吸のサインや改善法」など、子どもから大人まで知っておきたい口呼吸のリスクと対策について、歯科医の視点から詳しく解説します。
目次
口呼吸がもたらす3つのデメリット
1. 虫歯や歯周病のリスクが上がる
口呼吸が習慣化すると、口の中が常に乾いた状態になります。唾液は本来、歯の表面を洗い流し、細菌の繁殖を抑える働きをしていますが、乾燥によってこの自浄作用が弱まります。その結果、歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。
特に子どもの場合は、乳歯のエナメル質が薄く虫歯の進行が早いため、口呼吸による影響は深刻です。
2. 歯並びや顎の発育に影響
お子さんがいつも口を開けた状態でいると、舌が正しい位置に収まりにくくなり、上顎の成長が妨げられます。その結果、上あごが狭くなったり、出っ歯や受け口、開咬(前歯が噛み合わない状態)など、歯並びや噛み合わせに問題が出ることがあります。
また、頬や口周りの筋肉の発達にも悪影響を及ぼすため、顔貌が変わってしまうことも。口元が常にゆるんだ「間の抜けた顔つき」になってしまうのは、成長期の子どもにとって大きな問題です。
3. 風邪やアレルギーを引き起こしやすくなる
鼻にはフィルターのような役割があり、吸い込んだ空気中のウイルスやホコリ、花粉などを取り除いてくれます。しかし、口呼吸ではそのフィルター機能が働かないため、ウイルスがダイレクトに体内へ入り込みやすくなります。
特に冬場など、乾燥した空気をそのまま吸い込むことで、のどの粘膜が傷つき、風邪やインフルエンザのリスクも上昇。口呼吸は単なる癖ではなく、「免疫力を下げる習慣」だといっても過言ではありません。
鼻呼吸のメリットと、今すぐできるトレーニング法
鼻呼吸の主なメリット
・空気の加湿・加温機能:鼻から吸った空気は適度な湿度と温度が与えられ、体に優しい。
・フィルター効果:花粉やウイルス、ホコリを取り除いてくれる。
・姿勢や筋肉の発達に良い影響:舌が正しい位置にあることで、顔や顎の発育が整う。

鼻呼吸に切り替えるための簡単トレーニング
1. 唇を閉じる意識を持つ
まずは日常的に「口を閉じる」意識を習慣づけましょう。テレビを見ているときや勉強中など、無意識の口ぽかんが起きやすい時間こそ注意。
2. 鼻呼吸テープを使う
市販の「口閉じテープ」を使って、就寝中の口呼吸を防ぐ方法も有効です。寝ている間の乾燥やいびきの改善にも効果的です。
3. あいうべ体操
口の周りと舌の筋肉を鍛える「口腔筋トレーニング」です。「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口と舌を動かすことで、自然と鼻呼吸がしやすくなります。
口呼吸が癖になっているサインとは?
見逃しがちなチェックポイント
・無意識に口が開いている(特に寝ているときやテレビを見ているとき)
・朝起きたとき、のどが乾いている
・口臭が気になる
・唇がよく乾燥している
・歯並びが悪くなってきた
・いびきをかく
これらのうち複数に当てはまる場合は、すでに「口呼吸の習慣」がついている可能性があります。
子どもの口ぽかんは早期対応がカギ!
子どもの場合、成長とともに口の周りの筋肉や鼻腔が発達していくため、早めの対応で口呼吸を改善できる可能性が高まります。
小児歯科や耳鼻科などでの相談も視野に入れつつ、ご家庭でも「鼻で息をする習慣づけ」を心がけましょう。また、歯並びや顎の発育に不安がある場合は、歯科での早期チェックがおすすめです。場合によっては、マウスピース型の装置などを使って舌や口腔の筋機能訓練(MFT)を取り入れることもあります。
まとめ|「鼻呼吸」は全身の健康を守る第一歩
口呼吸は、虫歯や歯並びの乱れだけでなく、免疫力の低下や姿勢、見た目の印象にまで影響する“全身の問題”です。特に成長期の子どもにとっては、将来の健康や発達にも関わるため、できるだけ早い段階で気づき、改善していくことが大切です。
「ただの口ぽかん」と侮らず、今日から鼻呼吸を意識する生活を始めてみましょう。自分自身の健康だけでなく、お子さんの健やかな成長にもつながります。
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック
理事長 福原 隆久 監修