永久歯は一生もたない?歯を長持ちさせる5つの習慣とは

「永久歯は、一度生えたら一生もつ」と思っている方は多いかもしれません。
しかし実際には、永久歯の寿命は平均で50〜60年ほどといわれており、ケアを怠ると生涯もちません。
日本人の平均寿命が80歳を超える今、歯の寿命とのギャップをどう埋めていくかが、健康寿命を守るうえで非常に重要になっています。
この記事では、歯が失われていく主な理由と、誰でもすぐに取り入れられる「歯を長持ちさせる5つの習慣」をご紹介します。
永久歯が一生もたない理由とは?
永久歯は、大人になると二度と生え変わらない「一生ものの歯」です。それにもかかわらず、なぜ多くの人が加齢とともに歯を失っていくのでしょうか?
その理由の多くは、虫歯や歯周病といった口腔内のトラブル、そして噛み合わせの乱れや歯ぎしりといった生活習慣によるダメージにあります。
特に歯周病は自覚症状が出にくく、気づかないうちに進行し、歯を支える骨(歯槽骨)を徐々に溶かしてしまいます。日本人が歯を失う原因の第1位が歯周病であることは、決して珍しい話ではありません。
また、歯ぎしりや強い食いしばり、噛み合わせのズレによって歯に過度な力が加わると、歯がすり減ったりヒビが入ったりと、目に見えないダメージが蓄積されていきます。
●歯の寿命を延ばす5つの習慣
では、どうすれば歯をできるだけ長く健康に保てるのでしょうか?
ここでは、専門的な知識がなくても今日から始められる、歯の寿命を延ばす5つのシンプルな習慣をご紹介します。

1. フッ素入り歯磨き粉を活用する
フッ素には、虫歯の初期段階で起きる「脱灰(だっかい)」を修復する作用や、歯の表面を強化する働きがあります。毎日の歯磨きにフッ素入りの歯磨き粉を使うことで、虫歯になりにくい環境をつくることができます。
歯を磨いたあとは、何度もゆすぎすぎずに、軽く1回すすぐ程度にとどめると、フッ素が口の中に長くとどまりやすくなります。
2. 就寝前の歯磨きを丁寧に行う
一日の中でも特に重要なのが「夜の歯磨き」です。寝ている間は唾液の分泌が減少し、虫歯菌や歯周病菌が活発に活動しやすくなるため、寝る前の口内環境をしっかり整えることが大切です。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシも活用して、歯と歯の間までしっかりと磨く習慣をつけましょう。朝の歯磨きよりも丁寧に時間をかけるのがポイントです。
3. 「噛む」ことで唾液の力を引き出す
唾液には、口の中を中性に保ち、細菌の増殖を防ぐ働きがあります。特に食事中にしっかり噛むことで唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病の予防につながります。
1口につき30回程度を目安によく噛むよう意識してみましょう。食事中だけでなく、キシリトール入りのガムなどを活用するのも効果的です。唾液の量が少ないと感じる方は、軽いマッサージや水分補給も有効です。
4. 歯科での定期検診を習慣にする
歯の病気は、痛みが出てからでは手遅れになっていることも少なくありません。歯周病のように、見た目では進行が分かりにくい病気もあります。
半年に1回、可能であれば3ヶ月に1回のペースで歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になります。歯の表面のクリーニング(PMTC)を受けることで、普段の歯磨きでは落としきれない汚れを除去できるのも大きなメリットです。
5. 歯ぎしり・食いしばりを放置しない
日中の仕事中や、睡眠中に無意識に歯を強く噛みしめている方は少なくありません。歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯ぐきに過剰な負担をかけ、亀裂やすり減り、知覚過敏の原因にもなります。
寝ている間に歯ぎしりの傾向がある場合は、歯科医院で自分専用のマウスピースを作ってもらうと安心です。また、日中の食いしばりに気づいたら、こまめにあごの力を抜いて「リラックスする」意識を持つことも、歯へのダメージ軽減に役立ちます。
歯の健康は、人生の質に直結する
歯を失うと、「噛む」「話す」「笑う」といった日常のあらゆる動作に支障が出てきます。それだけでなく、食べにくさによる栄養不足、咀嚼力の低下による認知症リスクの上昇、見た目の変化による自信の低下など、身体的にも精神的にも影響を及ぼします。
つまり、歯の健康を守ることは、「健康寿命を延ばすこと」とほぼイコールといえるのです。
まとめ:毎日のケアが“歯の未来”を変える
永久歯は、一生使い続けられるほど強くはできていません。しかし、日々のちょっとしたケアや意識の積み重ねによって、寿命を大きく延ばすことができます。
フッ素を取り入れる、夜の歯磨きを丁寧に行う、唾液を活かす、定期検診に行く、歯ぎしり対策をする――
これらの習慣はどれも、難しいことではありません。
「歯の健康」は、将来の自分への大切な投資。
いま始めた分だけ、未来のあなたの笑顔や健康に返ってきます。
今日から、ぜひ一つずつ取り入れてみてくださいね。
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック
理事長 福原 隆久 監修