「よく噛む」だけで歯が強くなる?知らないと損する噛む回数の秘密

目次
はじめに:噛むことの重要性とは?
食事の際に「しっかり噛みなさい」と言われたことはありませんか?実は、よく噛んで食べることは、歯の健康だけでなく全身の健康にも大きく関係しています。現代では柔らかい食べ物が増え、噛む回数が減ることで歯や顎に悪影響を及ぼすケースも増えています。本記事では、噛む回数と歯の健康の関係、そして正しい食べ方について詳しく解説します。
1. 噛む回数が歯の健康に与える影響
(1) 唾液の分泌を促進し、虫歯・歯周病を防ぐ
食事の際にしっかり噛むことで、唾液の分泌が活発になります。唾液には次のような働きがあります。
虫歯予防:唾液には口内の食べカスや細菌を洗い流す「自浄作用」があります。さらに、酸性になった口内環境を中和し、歯の表面を守る働きもあります。
歯周病予防:唾液には抗菌作用があり、歯茎の炎症や歯周病を引き起こす細菌の増殖を抑えます。
再石灰化作用:エナメル質が溶けかかった部分を修復する働きがあり、初期の虫歯を防ぐ効果も期待できます。
噛む回数が少なくなると、唾液の分泌量が減り、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、しっかり噛むことが大切です。
(2) 顎の発達を促し、歯並びを整える
成長期の子どもにとって、よく噛むことは歯並びにも大きく関係します。硬いものを噛むことで顎の骨が発達し、永久歯がきれいに並ぶためのスペースが確保されます。
一方、柔らかい食べ物ばかり食べていると顎の成長が不十分になり、歯並びが悪くなりやすいです。大人でも噛む回数が少ないと顎の筋肉が衰え、歯の噛み合わせが悪くなることがあります。
(3) 食べすぎを防ぎ、ダイエットにも効果的
「よく噛んで食べるとダイエットに良い」と言われるのは、噛むことで満腹中枢が刺激され、少量の食事でも満足感を得やすくなるためです。早食いは満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまう原因となり、結果的に肥満につながる可能性があります。
2. 正しい噛み方とおすすめの食材
噛む回数を増やすためには、食べ方の工夫と適した食材の選び方が重要です。
(1) 1口30回を目標にゆっくり食べる
理想的な咀嚼(そしゃく)回数は、1口30回とされています。最初は意識しながらゆっくり食べることが大切です。
【おすすめの方法】
・口に入れたらすぐに飲み込まず、意識してしっかり噛む
・一度箸を置いて、ゆっくり食事を楽しむ
・飲み物で流し込まずに、食材を噛み砕く習慣をつける
(2) 噛みごたえのある食品を取り入れる
噛む回数を増やすためには、自然とよく噛む必要がある食材を選ぶことも大切です。
【噛みごたえのあるおすすめ食品】
・根菜類(ごぼう、にんじん、レンコン)
・豆類(大豆、ナッツ類)
・肉・魚(噛みごたえのある赤身肉、イカ、タコ)
・果物(りんご、梨)
・雑穀類(玄米、雑穀米、全粒粉パン)
特に、ごぼうやナッツ類はしっかり噛まないと食べられないため、自然と咀嚼回数が増えます。

(3) 食事のスタイルを見直す
食べやすいように細かく刻んだり、やわらかく煮込んだりすると、噛む回数が減ってしまいます。適度に大きめのカットにしたり、食感を残す調理法を意識しましょう。
3. 現代の食生活と噛む回数の減少
近年、ファストフードや加工食品が普及し、食事の咀嚼回数が大幅に減っていると言われています。例えば、日本人の食事の平均咀嚼回数を時代ごとに比較すると次のようになります。
【時代ごとの平均咀嚼回数】
・縄文時代:約4000回
・江戸時代:約1400回
・現代:約600回
このように、昔に比べて現代の食事では噛む回数が大幅に減少しています。食べ物が柔らかくなり、早食いが習慣化することで、歯の健康だけでなく消化器官への負担も増えているのが現状です。
まとめ:しっかり噛んで歯を守ろう!
「よく噛む」ことは、歯の健康だけでなく全身の健康にもつながる大切な習慣です。噛む回数を増やすことで、以下のようなメリットが得られます。
● 唾液の分泌を促し、虫歯・歯周病を予防
● 顎の発達を促し、歯並びを整える
● 満腹感が得られやすく、食べすぎを防ぐ
● 消化を助け、胃腸への負担を軽減
普段の食事を見直し、意識的に「よく噛む」ことを習慣にしましょう。今日からできる簡単な工夫を取り入れ、健康な歯と体を守っていきましょう!
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック
理事長 福原 隆久 監修