生活習慣で大きく変わる!お子様の歯並びとは?
目次
歯並びは遺伝だけではない!?生活習慣が歯並びに与える影響とその改善策
お子さまの歯並びについて不安を感じる保護者の方も多いと思いますが、その原因を「遺伝」だと考えるのはよくある誤解です。実は、小さな頃からの生活習慣が歯並びに大きな影響を与えているケースが多いのです。歯並びはあごの発達、呼吸法、さらには日常の癖によっても左右されます。あゆみ歯科クリニックでは、歯並びを良く保つために見直しておきたい生活習慣とその対策をご提案します。大切なお子さまの歯を守るため、今からできる対策を見ていきましょう。
1. 口呼吸がもたらす筋力低下と歯並びの乱れ
普段、鼻ではなく口で呼吸する「口呼吸」が習慣化していると、歯並びやあごの成長に影響を及ぼすことがあります。口呼吸をしていると唇や頬の筋力が弱まり、歯を正しい位置に保つ力が低下します。そのため、前歯が突出した「出っ歯」や歯と歯の間に隙間ができる「すきっ歯」になりやすくなるのです。
また、口呼吸は口腔内の乾燥を招き、虫歯や歯周病の原因にもなりやすいと言われています。口呼吸の習慣があるお子さまの場合、アレルギーや鼻詰まりが原因で鼻呼吸が難しい場合も多いため、耳鼻咽喉科や歯科医での相談を検討するとよいでしょう。さらに、口周りの筋肉を鍛えるために、風船を膨らませる運動や口を閉じて唇を強く押し付けるトレーニングなども効果的です。
2. あごの発達と噛む回数の関係:よく噛まない食事の弊害
現代の食生活は柔らかい食べ物が多く、食事中に噛む回数が少なくなる傾向があります。噛む回数が減るとあごの発達が十分に進まず、結果的に歯が正しい位置に並ぶスペースが確保できなくなります。これが「出っ歯」や「受け口」の原因になることもあります。
あごの発達に必要な刺激は、特に硬い食材やしっかり噛む食材によって得られます。例えば、ナッツや硬めの野菜、乾燥果物などがあごの筋肉を鍛えるのに適しています。また、噛む動作が多いことで唾液の分泌が促進され、食べ物の消化や虫歯予防にも効果があります。食事の際は、噛む回数を数えたり、ゆっくり時間をかけて食べるように意識してみましょう。
3. 頬杖や片側寝の癖がもたらす左右非対称な影響
頬杖をついたり、片側ばかりを下にして寝る習慣は、顔の左右非対称や歯並びの乱れにつながることがあります。片方の頬に長時間圧力がかかることで、あごの成長や歯列に歪みが生じ、顔のバランスにも影響が及ぶ場合があります。また、うつ伏せ寝もあごの成長に偏りを生じるため、寝る時の姿勢にも注意が必要です。
姿勢が与える影響は、幼少期の柔軟なあごの成長に直結します。就寝時には仰向けで寝るように促したり、日中に頬杖をつくことを控えるよう意識付けをすることで、成長期の歯並びを守ることができます。さらに、枕の高さや形を調整することで、寝やすさを向上させつつ、正しい姿勢をサポートするのも効果的です。
4. 指しゃぶりと前歯の突出リスク:上顎前突の原因に
小さな子どもが指しゃぶりをすることは自然な行動ですが、5歳を過ぎても続けている場合は歯並びに影響を与えることがあります。指しゃぶりの癖が残ると、前歯が前方に押し出され、いわゆる「出っ歯」と呼ばれる状態(専門的には「上顎前突」)の原因となり得ます。これは、歯列の乱れだけでなく、噛み合わせの不調にもつながるため、早期の対応が望ましいです。
お子さまが自発的に指しゃぶりをやめられるように、柔らかい布やおもちゃなど、別の刺激を与える工夫が有効です。また、指しゃぶりが癖になっている場合、親が無理にやめさせるのではなく、気持ちを安定させるような環境づくりを行い、自然に癖が収まるようサポートするのが良いでしょう。
5. 爪を噛む癖が歯並びに与える影響:叢生(そうせい)との関係
「爪を噛む癖」は、歯に強い力が繰り返しかかることで特定の歯が移動し、歯並びが乱れる原因となります。爪を噛む動作は前歯に負担が集中しやすいため、特に「叢生(そうせい)」と呼ばれる前歯の不揃いの要因になりやすいです。この癖が長く続くと、歯だけでなく、あごの形にも影響が出ることがあります。
爪噛みがストレスや緊張から生じている場合も多く、お子さまがリラックスできる時間や活動を増やしてあげると効果的です。また、指先を使った遊びやクラフトなど、手を使う別の趣味を持つことも爪噛みの改善に役立ちます。無意識に爪を噛んでしまう場合には、気づかないうちに歯並びが悪くなってしまうこともあるため、早めに対応しておきましょう。
6. 乳歯のむし歯と永久歯の関係:歯列不正のリスク
乳歯にむし歯ができて早期に抜けると、隣の歯が傾くなどして永久歯の生えるスペースが不足することが多くあります。この影響により、永久歯が正常な位置に生えず、歯並びが乱れる「歯列不正」のリスクが高まります。乳歯はやがて抜けるとはいえ、歯列の形成において非常に重要な役割を持っているのです。
乳歯のむし歯予防には、毎日の歯磨きや定期的な歯科検診が欠かせません。また、乳歯が健康であることで、永久歯が正しい位置に生えるためのガイドとしての役割を果たします。おやつの糖分量や飲み物の選び方にも配慮し、乳歯を健康に保つことで、お子さまの将来の歯並びを守りましょう。
日々の生活習慣を見直し、健康な歯並びをサポートしよう
お子さまの歯並びは遺伝的な要素だけでなく、日々の生活習慣によっても大きく影響を受けます。成長期にあるお子さまの場合、骨や歯の発達が進行中であるため、悪習慣に早めに気づき、対策を講じることが重要です。特に、あごや顔の骨が成長している幼少期には、些細な習慣が歯並びや顔のバランスに大きな影響を及ぼすこともあります。もしお子さまの歯並びや生活習慣について気になることがあれば、早めに歯科医師や専門家に相談し、正しいアドバイスを受けることが大切です。
医療法人隆歩会 あゆみ歯科クリニック
理事長 福原 隆久 監修