歯列矯正中のセルフケアの重要性と効果的な方法
目次
矯正治療の成功にはセルフケアが不可欠
歯列矯正中は、矯正装置の装着により歯磨きが難しく感じられることが多いです。しかし、矯正治療中に虫歯ができると、追加の治療が必要となり、矯正計画が遅れる原因となります。計画通りに矯正治療を進めるためには、適切なセルフケアが非常に重要です。ここでは、歯列矯正中のセルフケアの重要性と具体的な方法について詳しく解説します。
矯正中だからこそ必要な丁寧な歯磨き
矯正装置の種類によって、歯磨きの方法は異なります。例えば、マウスピース矯正(インビザラインなど)の場合、患者自身で装置を取り外せるため、通常の歯磨きが可能です。しかし、ワイヤー矯正では、装置を歯科医院でしか取り外せないため、装着したままでの歯磨きが求められます。
ワイヤーの下部は特に磨きにくく、食べかすや歯垢(デンタルプラーク)がたまりやすい場所です。ブラッシング時に毛先をしっかり当てないと、磨き残しが増えて虫歯や歯周病(ペリオドンティクス)が進行しやすくなります。以下に、ワイヤー矯正治療中の正しい歯磨き方法を詳述します。
ワイヤー矯正中の効果的な歯磨き方法
優しく磨き、毛先をしっかり当てる
汚れを落とすために強く磨くと、歯や歯茎(歯肉)にダメージを与えることがあります。歯ブラシは鉛筆を持つように握り、力を入れすぎずに小刻みに動かします。歯の表面や歯と歯茎の境目に毛先を当てて、1本ずつ20回程度を目安に丁寧に磨きましょう。
ワイヤーの上部と下部
歯ブラシを斜め45度に向け、毛先が細部に届くように磨きます。ワイヤーの上部と下部を意識して、しっかりとブラッシングしましょう。
ブラケットの周り
特に汚れが付きやすい場所です。歯ブラシを45度に傾け、念入りに磨きます。斜め上や斜め下に角度を変えることで、汚れが落としやすくなります。
ワイヤー下
矯正装置が邪魔で磨きにくい部分ですが、歯ブラシを縦に向けたり、毛先をワイヤーの下に少しだけ通して磨きましょう。
歯と歯肉の境目
歯と歯肉の間にたまった歯垢は、縁下歯石となり、歯や歯肉を蝕みます。矯正装置の周りだけでなく、歯と歯肉の間も優しく磨きましょう。
前歯の裏
歯ブラシを縦に向け、「かかと」を使って汚れをかき出します。前歯の裏は特に歯垢がたまりやすいので、念入りに磨くことが重要です。
奥歯
奥歯は特に磨き残しがちです。頬側、舌側の両方をしっかりと磨きましょう。
矯正中の歯磨きをサポートする便利なアイテム
矯正中の歯磨きをより効果的にするために、以下のアイテムを活用しましょう。
タフトブラシ
ヘッドが小さく、細かな部分を磨きやすいブラシです。特にブラケット周りの清掃に効果的です。
歯間ブラシ
ワイヤーの下や矯正装置の隙間に溜まった汚れを取り除くのに便利です。
デンタルフロス
歯間の細かい部分の汚れを除去するために使用します。矯正装置があっても使用しやすいタイプもあります。
マウスピース矯正中の清掃方法
マウスピース矯正では、装置を外して通常の歯磨きが可能です。ただし、マウスピース自体の清掃も重要です。特にくぼんだ部分には食べかすや細菌がたまりやすいため、指で優しくこすり、細かな部分は歯ブラシで汚れを落とし、流水で洗い流しましょう。マウスピースは非常に薄いため、変形させたり傷がつかないよう注意が必要です。
矯正治療を成功させるために
矯正中に虫歯が発生すると、矯正治療が一時中断される可能性があります。これにより、歯並びがきれいになるまでの日数が延びることが考えられます。計画通りに治療を完了し、美しい歯並びを早く実現するためには、日々の歯のメンテナンスが欠かせません。正しいセルフケアを実践し、矯正治療の成功を目指しましょう。
監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久