歯に黒い部分を見つけたらどうするべき？
歯に黒い部分を見つけたら
歯に黒い点を発見した場合、その原因は大きく分けて虫歯か着色汚れのどちらかである可能性が高いです。今回は黒い点や黒い箇所ができたときについて、お話させていただきます。
着色汚れのメカニズム
歯の着色汚れは、コーヒー、紅茶、赤ワイン、タバコのヤニなどが原因で歯の表面に付着し、時間と共に黒く見えることがあります。これらの汚れは、市販の歯磨き粉では完全に取り除けないことが多いため、専用の器具を用いた衛生士によるクリーニングが推奨されます。歯科医院では、患者様ごとに、超音波スケーラーやエアフロー、コントラ等多数の器具を使い分けることで、適切に着色汚れを落とします。
黒い箇所はどこにあるのか？
歯の溝部分や歯の表面が黒い
歯の溝（咬合面の溝）や歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくいため、食べかすやプラーク（歯垢）が溜まりやすい場所です。そのため、虫歯の好発部位となりやすく、黒く変色して見えることがあります。黒く見える場合、痛みがなくても虫歯の可能性があるため、早めに歯科での検査を受けましょう。虫歯は早期発見・早期治療が重要であり、進行するほど治療期間が長引いたり、削る量が増えたりと大掛かりになります。
被せ物と歯の境目が黒い
金属製補綴物の影響によるものが考えられます。金属製の被せ物（クラウン）を使用している場合、長期間の使用で金属イオンが溶け出し、歯や歯茎が黒く変色することがあります。もし黒い部分が被せ物と歯の境目にある場合、虫歯が進行している可能性もあるため、注意が必要です。補綴物（クラウンやインレー）は寿命があるため、定期的なチェックと場合によっては交換していただくことが大切です。
歯と歯茎の境目が黒い
歯石の形成と影響が考えられます。歯垢が唾液中のカルシウムと結びついて硬化したもので、歯肉より上に付着するものは白色や黄色に見えますが、歯肉より下に形成された歯石は、血液や歯周病菌（P.G菌）の色素が混ざるため黒く見えることが多いです。黒い部分が見えた場合、自己処理せずに歯科での専門的な除去を行いましょう。
虫歯のメカニズムと進行段階
虫歯は、口腔内に生息するミュータンス菌などの虫歯菌が糖分を分解して酸を生成し、その酸が歯のエナメル質を溶かす病気です。初期段階では歯の表面が白っぽく見える「脱灰」状態から始まり、次第に黄色、茶色、そして最終的には黒く変色します。黒く変色している場合は、虫歯が進行して象牙質まで達している可能性が高いため、早急な診断・治療が必要です。
なぜ虫歯は黒くなるのか
虫歯の進行と色の変化
初期の虫歯は白や茶色に見えますが、虫歯が進行して象牙質に達すると、色素が沈着して黒く見えるようになります。この段階では再石灰化が追いつかず、虫歯の進行を防ぐことが難しくなります。また、象牙質まで進行すると冷たいものがしみることがあります。しかし、初期の虫歯はフッ素などを用いた再石灰化治療でも対応できることが多いため、早めの検査と治療が重要です。日頃の口腔ケアを徹底し、虫歯菌や歯に付着する歯垢を減らすことが予防につながります。
初期段階の症状と対策
歯に黒い部分を見つけたら歯科へいきましょう。歯に黒い部分を見つけたら、それが虫歯であれ着色汚れであれ、自己判断せずに歯科医院での検査を受けることが重要です。早期発見・早期治療が歯の健康を守る鍵です。また、定期的な歯のクリーニングと適切な口腔ケアを心がけ、虫歯や着色汚れを未然に防ぎましょう。
監修：医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久
