歯垢とは何?歯医者さんが詳しく解説します!
歯垢(プラーク)とは、歯の表面に形成される白っぽい粘着性の物質で、口腔内の細菌、唾液、食べ物の残りかすが混ざり合って作られます。そのままにしておくと、虫歯や歯周病の原因となるため、適切なケアが必要です。この記事では、歯垢の形成過程、その影響、および予防法について詳しくお話します。
目次
歯垢の形成過程
ペリクルの形成:食事や飲み物を摂取すると、歯の表面にペリクルと呼ばれる薄い膜が数分で形成されます。これは唾液中のグリコプロテインから作られ、細菌が付着しやすい基盤となります。
細菌の付着:ペリクルに口腔内の細菌が付着し、増殖します。これが初期の歯垢で、ストレプトコッカスミュータンスなどの虫歯原因菌が粘着性のグルカンという物質を作り、歯垢となっていきます。
バイオフィルムの形成:歯垢が形成されると、さらに多くの細菌が集まり、バイオフィルムという強固な構造を作ります。成熟したバイオフィルムは、抗菌剤や免疫システムに対して非常に抵抗力があります。
歯垢がもたらす問題
歯垢は、主に虫歯(う蝕)と歯周病の二つの大きな問題を引き起こします。
虫歯
歯垢中の細菌が糖を分解し、酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を脱灰し、虫歯を進行させます。特に、フッ化物が不足するとエナメル質の再石灰化が妨げられてしまうため、虫歯のリスクが高まってしまいます。
歯周病
歯垢中の細菌が歯茎(歯肉)を刺激し、歯肉炎を引き起こします。これが進行すると、歯周ポケットが深くなり、歯を支える歯槽骨に影響することで、歯周炎が進行します。最終的には、歯が抜け落ちることもあります。
歯垢の予防と除去
毎日の歯磨き:歯垢の予防には、毎日の適切な歯磨きが最も重要です。歯ブラシは、歯と歯茎の境目(歯肉縁)を意識して、丁寧にブラッシングすることが大切です。少なくとも2分間、全ての歯を磨くことを心がけましょう。電動歯ブラシの使用も効果的です。
デンタルフロスの使用:歯ブラシだけでは取り切れない歯と歯の間の歯垢は、デンタルフロスを使用して除去します。毎日使用することで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。また、歯間が広い場合は、歯間ブラシも有効な方法です。
定期的な歯科検診:自分で取り切れない歯垢や歯石は、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング(スケーリングとルートプレーニング)を受けることが重要です。歯科医師や歯科衛生士による専門的な知識や技術、道具を用いて行いますため、セルフケアでは取り切れない部分もきれいにお掃除することができます。
歯垢対策の補足知識
食生活の見直し:糖分を多く含む食べ物や飲み物を控えることは、歯垢の生成を抑えるのに有効です。特に間食や夜食は、口腔内のpHが酸性に傾きやすいため、注意が必要です。もし食事後の歯磨きが難しい場合は、水で口をすすぐことで、食べかす等を多少は洗い流すことができるため、歯垢の形成を少しでも防ぐことができます。
フッ素の使用:フッ素配合の歯磨き粉や洗口液は、歯のエナメル質を強化し、虫歯の進行を防ぎます。特にお子様の場合、乳歯は大人の歯と比べて薄く柔らかいため、虫歯になりやすいです。そのため、定期的なフッ素塗布と検診をおすすめしています。
キシリトールガムの咀嚼:キシリトールは、虫歯の原因菌を減少させ、ガムを噛むことで唾液の分泌を促進します。唾液には自然の洗浄作用があり、歯垢の形成を防ぎます。
歯垢を付着させないために
歯垢は、日常のケアと予防策をしっかりと実践することで、簡単にコントロールできます。毎日の歯磨き、デンタルフロスの使用、定期的な歯科検診を怠らず、健康な歯と歯茎を維持しましょう。歯科医師の指導を受けることで、より効果的な予防法を実践することができます。自分の口腔内の健康を守るため、日々のケアを大切にしましょう。
監修:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久