• 歯科コラム

歯科医師がおしえる、口内炎の種類と原因・予防法

口内炎とは、口腔内にできる小さな潰瘍で、痛みを伴うことが多い疾患です。食事や会話の際に強い痛みを感じ、何もしなくてもピリピリとした痛みが続くことがあります。多くの方が一度は経験したことがあるでしょう。

一口に口内炎と言っても、その原因や種類はさまざまです。発生する部位や症状によって、治療法も異なります。ここでは、代表的な口内炎の種類と原因、予防法について詳しく解説します。

 

口内炎の種類

アフタ性口内炎(アフタ潰瘍)

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は、口内炎の中でも最も一般的なタイプです。特徴的な症状として、中央が白色または黄色を帯び、周囲が赤く縁取られる潰瘍が挙げられます。このタイプの口内炎は、ストレス、免疫力の低下、栄養不足(特にビタミンB群の不足)などが原因で発生することが多いです。

ウイルス性口内炎

ヘルペス画像

ウイルス性口内炎は、ヘルペスウイルスや風邪ウイルス(コクサッキーウイルスなど)が原因で引き起こされます。特徴的な症状は、口腔内に複数の小さな水疱ができ、破れて潰瘍になることです。症状が広範囲にわたることが多く、強い痛みを伴うことがあります。

カタル性口内炎

カタル性口内炎は、入れ歯や歯の修復物、八重歯などの物理的な刺激が原因で引き起こされることが多いです。これらの外的刺激によって粘膜に傷がつき、その傷口に細菌が感染して炎症を起こします。原因となる刺激を取り除かない限り、繰り返し発症することがあります。

 

口内炎の原因

口内炎の発生には多くの要因が関与しています。
 〇ストレスと生活習慣: 暴飲暴食、偏食、睡眠不足、栄養不足(特にビタミンB12、鉄分、葉酸の不足)など。
 〇物理的刺激: 唇や頬の内側を噛む癖、入れ歯や矯正装置の刺激。
 〇感染症: 性行為やキスなどによるウイルスや細菌の感染。
 〇全身的健康状態: 体の抵抗力が低下しているときや、糖尿病などの病気にかかっているとき。
 〇加齢やドライマウス(口腔乾燥症)も口内炎ができやすくなる要因として知られています。これらの要因が重なり合って口内炎が発症します。

口内炎の治療と予防法

口内炎の治療や予防法は原因によって異なりますが、一般的な対策として以下の方法があります。
 〇規則正しい生活習慣の維持: バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動が大切です。特にビタミンB群や鉄分、葉酸を豊富に含む食事を心がけましょう。
 〇ストレスの管理: リラクゼーションや趣味を楽しむ時間を持ち、ストレスを解消することが重要です。
 〇口腔内のケア: 毎日のブラッシングやデンタルフロスの使用に加え、適切な入れ歯や矯正装置の管理も重要です。アルコールを含まないマウスウォッシュを使用することも有効です。
 〇栄養バランスの取れた食事: 特にビタミンB群を意識して摂取することが重要です。ビタミンB2やB6は細胞の新陳代謝を促進し、口内炎の予防に効果があります。

口内炎が頻繁に発生する場合や長引く場合は、歯科医師の診察を受けることをおすすめします。健康な口腔環境を保つために、歯科医院にお越しいただき、適切に予防していきましょう。

 

記事記載:医療法人隆歩会理事長 歯学博士 福原隆久