メタルコアとファイバーコアの違い
重症化した虫歯では、歯の頭の部分である歯冠(しかん)がほとんど残っていません。また、歯髄も抜いてしまいますので、残るのは歯根と歯髄が収まっていた歯髄腔だけとなります。ここから歯を復元していくためには、コアと呼ばれるパーツが必要になります。ここではそんなコアに使われる材料の違いについて詳しく解説します。
1.メタルコアの特徴
コアの部分が銀合金で作られたものをメタルコアと呼んでいます。そんなメタルコアには、以下に挙げるような特徴があります。
1-1 歯根が折れやすい
メタルコアは銀合金によって作られていますので、当然のことながら硬いです。コアは歯質の中に設置されるものですので、できるだけ歯質に近い性質であることが望ましいです。なぜなら、なにかを噛んだ際には、歯に対して圧力がかかりますので、歯の中心部に歯質よりも硬いものがあると、周りに圧力が分散します。その結果、歯根が折れてしまうことがあるのです。
1-2 金属アレルギーのリスクがある
メタルコアは歯科用金属でおなじみの銀合金で構成されているため、金属アレルギーを引き起こすリスクがあります。昨今、金属アレルギーが歯科治療が原因となっているケースも増えてきたため、金属アレルギーがある患者さまにとっては推奨できない材料といえます。
1-3 歯ぐきに着色が生じるリスクがある
これもまた銀合金を使用することのリスクで、メタルコアに含まれた金属イオンが唾液などによって口腔内へと溶け出し、結果として歯ぐきへの着色が生じることがあります。ですから、審美性を重視される方にとっては、メタルコアはあまり推奨できない材料といえます。
1-4 人工歯から金属色が透けて見える
メタルコアを設置したら、最終的に人工歯であるクラウンを装着するのですが、ケースによってはクラウンから中の金属色が透けて見えることあります。すると、歯が黒ずんで見えるようになりますので、結果的に審美性が低下することがあるのです。
1-5 保険が適用される
ここまで、メタルコアのデメリットばかり挙げてきましたが、大きなメリットとして保険適用されるという点があります。メタルコアは比較的安価な銀合金を使用しているため、基本的に3割負担で治療を受けることが可能です。
2.ファイバーコアの特徴
コアの部分がグラスファイバーで作られたものをファイバーコアと呼んでおり、メタルコアと比較すると、メリットが多いのが特徴です。
2-1 ファイバーコアのメリット
ファイバーコアの特徴は、メタルコアがもっているデメリットをきれいに補うような形の特性を持っています。まず、歯質に近い性質を有していますので、歯に力がかかった際も、歯質と同じように圧力を緩和するため、歯根破折が起こりにくいです。また、金属を使用していませんので、金属アレルギーが起こらないことはもちろんのこと、歯ぐきに金属色が着色したり、人工歯から金属色が透けて見えたりすることもありません。
2-2 ファイバーコアのデメリット
ファイバーコアのデメリットは、保険適用されないという点です。メタルコアとは異なり、自由診療となりますので、比較的治療費が高額となります。
3.まとめ
このように、メタルコアとファイバーコアとでは、とてもわかりやい形で違いが見受けられます。それだけに、選択に迷うことはあまりないかと思われます。経済性を重視するのであればメタルコアを選び、機能性や審美性を重視するのであればファイバーコアを選ぶことをお勧めします。もちろん、症例によってどちらかを選ばざるを得ないこともありますが、その点は主治医にご相談ください。