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2017年5月21日床矯正研究会 床矯正ベーシックコース

5月21日に京都府八幡市にあるあゆみ歯科クリニックの勤務医が1名、床矯正研究会主催の床矯正ベーシックコースに参加してきました。

 

歯科医師: 佐々木 善彦

セミナーの要約、どのようなセミナーであったか。

・非抜歯による治療が大前提→歯科の治療は歯並びだけでなく顔面の育成
Extすることで歯列弓減少→口腔内ボリューム減る→舌スペースなくなる→顔貌、姿勢も変化が起こる
・メカニカル(床矯正装置、その他ブラケットやワイヤー)→装置はあくまで補助的な存在
とバイオロジカル(バイオセラピー、食育、トレーニング悪習癖の改善)な治療からなる 
・予防医学とは「健康を損ねる因子を防ぎ取り除くことを目的とした医学」
よって予防歯科とは、×治療の方法や治療の説明する △早期発見、早期治療 
◎早期問題発見、早期問題提起、早期問題解決 なぜ?を考えるようなスタンスであるべき
つまり 床矯正はまさしく予防歯科!!!

②特に良かった点、記憶に残ったセリフや内容など

・なぜ歯列不正が起きたのか?
①顎の発育不足40%→骨の発育には、発育期の外力は必要。顎骨における外力は咬む力。その不足による
→顎の発達不足につながる食生活(問題提起)→食事の環境改善(問題解決)
②口腔習癖、態癖40%→歯が正しい位置に維持できなかった外力の存在
→開口、頬杖、低位舌、指しゃぶり、舌突出(問題提起)→悪癖の改善(問題解決)
③位置異常、先欠、過剰歯20%
1クラスに3,4人が対象
・治療時期の決定
①歯の萌出時期
②成長期
③子供の精神状態や社会環境、モチベーション、自我
④保護者の方の関心度

これら4つを総合して判断する
・12歳以上、中学校に入学すると、クラブや習い事等忙しくなり→中断率が上がる→重篤化→抜歯症例になる
・9歳(混合歯列後期)になる前に治療を終えると簡単
→犬歯が生える前なら前歯だけの問題で済む、第二次成長を利用できる、自我が芽生える前、abはいけるが側方歯群cdeが生え変わりだすと装置の適合が不安定になるため

・咀嚼の3相
前歯での咬断運動(スタート、前歯でかぶりつけることが大事)→犬歯小臼歯での粉砕運動→大臼歯での臼磨運動
3相がきちんと揃うことで顎にとっての発育刺激となる。よって『一口で30回は咬みましょう』は机上の空論。
・前歯でかぶりつくことが重要→切縁結節が残っていれば咬断運動不足かも
食生活改善例(硬い物というよりは口に長く残る繊維質を多くする、一口で食べれない大きさ、おにぎりにのりを巻く、コーン粒を取らない、スイカにスプーン使わないetc)
前噛みで歯槽突起を発育させる
・床矯正は複合移動
床装置による移動は傾斜移動のみ、咬合力が加わることで歯体移動となる
・舌のトレーニング(スポットポジション、ポッピング、あいうべ体操、ガムを丸める→口蓋に押し付ける→ガムを口蓋に付けたまま嚥下してガムの広がりを見る)
・平行タイプ(一般)、ファンタイプ(前歯のみを横に広げる、臼歯の咬合を変えたくない)、前方拡大タイプ、後方移動タイプ(6を後方移動、7萌出後必要あれば縮小も可能)、閉鎖型(主に保定として)、咬合斜面板・咬合挙上板
・夕方から就寝時までが最も動くゴールデンタイム、就寝時は少しながら動く、日中はあまり動かない
・cc間に2-2が並ぶスペースがありさらに2mmほど余裕が欲しい→3がcの真下ではなくズレるかも

・拡大終了後の選択肢は
①すぐに閉鎖型へ(保定) ②すぐにブラケットへ ③犬歯の萌出を待って判断
☆犬歯の萌出までの期間と犬歯の歯胚の位置で判断していく
例:犬歯萌出まで半年以上ある+犬歯の歯胚の位置が良い=すぐに保定へ
  半年ない+位置悪い=ブラケットで3を正しい位置に動かす準備を
  半年ない+位置良い=萌出後に保定orブラケットの判断を
            犬歯の歯軸を治す必要ないなら保定、歯軸に問題あるならブラケット
・犬歯が萌出するまでの期間の目安
パノラマにて永久歯胚が乳歯の根先にあれば萌出まで1年以上かかる、永久歯胚の歯冠と歯根の長さが同じになると半年で萌出  歯胚の歯冠>歯根→半年以上ある 歯胚の歯冠<歯根→半年ない
・装置卒業の条件
1、歯の周りの骨が安定すること(指で触って動かない) 床装置は6か月、ブラケットは1年最低保定必要
2、機能の安定→咬合力検査 約20kg以上 成人は30kg で全部噛んでいる 左右差が10%以内、口輪筋力検査2.5kg
3、悪習癖がなくなること
 これらを満たすと保定は終了 7番の萌出終わるまでは管理

・下顎前突、開咬、切端咬合は難症例化しやすいので注意!
・乳歯列期はほとんどが機能性反対咬合→原因:乳犬歯の早期接触、下顎を前方に出すうがい等の癖、低位舌
・前歯被蓋の改善がキーポイント 特にオーバーバイトは2mm以上 
・骨格性反対咬合で、被蓋が浅い、治療開始が10歳以上は骨格性に移行し難症例化しやすい
・開咬は難しい、ブラケット必要になるケース多い、後戻り、被蓋は安定しにくく最終的な被蓋の妥協点→絶対最初に患者さんに説明しておく 骨格性開咬は超難、触らない
・異常嚥下(舌突出)を治す訓練→少量の水を舌の上に数分キープ、飲むときに咬筋がピクッと動くか手を置いて確認
・痛み=後戻り?はめてない?外してる?
・巻いたり戻したりを繰り返す→ねじ山が緩くなり戻っちゃう可能性あり

 

 

ご来院の方々へ ~このセミナーで学んだこと、患者様に貢献できること~
こんにちは。あゆみ歯科クリニック勤務医の佐々木です。

今回、床矯正セミナーに参加させていただきました。

セミナーでは矯正装置の話し以外にも、嚥下訓練や食育についてなど多くの内容を学ばせていただきました。

当院でも多くのお子様が来院されていますので、何かしらの形で今回学べた知識を発信して、

みなさんに還元していければと思います。